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2007-08-07(Tue)

ころがる山⑥

山男は麦畑の道を進んで行きます。
まだ見ぬおダンゴ山を目指して。

何日か麦畑を歩いていくと、オレンジの町に着きました。

「ふぅ、今日もよく歩いたなぁ。」
山男は近くの酒場に入りました。

「いらっしゃい。」

「何か飲み物をお願いします。」
「はい。」

静まり返った酒場のすみで、ひそひそと話しをしている人達がいました。

「マスターはいつ帰ってくるんだろうね。」
「いやぁ、こんだけ帰らないとなると帰ってこんかもしれんぞ。」

「そうかなぁ、一体どこに行ったやら。」
「なんだって、美味しい果物を探してるって話だったよなぁ。」

「グルメだったからなぁ、マスターは。だから酒もつまみも最高だったんだけどなぁ。」
「ほんと、ほんと。早く帰って来ないかなぁ。」

山男は出された飲み物を一気に飲み込むと、店から出て行きました。

(何だか最近は探しものの旅に出てるヤツが多いんだなぁ。まぁおれもそうだが。)

山男はまた歩き出しました。次の町が赤い町です。
今度は川の近くを歩いて行きました。

広かった川はどんどん細くなり、小川のようになりました。
山をいくつも越えました。
そしてやっと、赤い町にたどりつきました。

赤い町は山の上にありました。

どの家の屋根も、夕焼けの太陽のように真っ赤なレンガで飾られています。
壁は白く、まるでおとぎの国のような雰囲気です。

「やっと着いた。」
山男は喜びました。
しかし、目指すはおダンゴ山です。
赤い町の近くとは聞いたものの、赤い町の周りは山だらけです。

「さて、どの山がおダンゴ山だろう。どれも丸くはないようだが。」

地図と見比べてみても、それらしき山はありません。
「おかしいなぁ。まだ地図にものってない山なんだろうか。」

山男は赤い町の門をくぐりました。
そして会う人会う人にたずねてまわりました。

「この近くにおダンゴ山ってありますか?」
「さぁ、どうがかね。こんなにたくさん山があると、名前なんていちいちおぼえてられないよ。」とか、

「さぁ?聞いたことないわねぇ。おダンゴ山ってことは丸いのかしら。
そんなおかしな山は知らないわ。」とか、

「何それ?」という返事ばかりでした。

山男はなんだかさみしくなりました。

そんな山男の心を表すかのように、突然雨が降り出しました。
すごい雨です。

山男は近くの家の軒下に入りました。

思えば長い道のりでした。
山男は必死で歩き続けました。

つかれが頂点に達していたのでしょう。
山男はその場に、ばったりとたおれてしまいました。

物音に気づいたその家のおばあさんは、外に出てみました。
すると、しらない男がたおれているではありませんか。

おどろきつつもおばあさんは、山男に声をかけました。

「もしもし、どうかしたんかね?」
「うっ、ううっ。」

「あらまぁ、これは大変。」
おばあさんは近所の人の手をかりて、山男を家の中へ運び入れました。

山男は何日も眠り続けました。

「ここは?」
目を覚ました山男はびっくりした様子で言いました。

きちんと片付けられた部屋の、ふかふかのベッドの上でした。

「おやまぁ、目がさめましたか。ここは私の家ですよ。
あなた、軒下でたおれていたのよ。覚えているかしら?」

「あ、ああ。そうだったんですか。ありがとうございます。」

「つかれが出たんだねぇ。しばらくは家でゆっくりしておいき。」
優しいおばあさんは、にっこりして言いました。

山男は部屋を見回しました。どうやらここは、男の子の部屋だったようです。
赤いとんがり帽子や、服がかけたままになっています。

「この部屋、使っててもいいんですか?」
山男はおばあさんに聞いてみました。

「ええ。いいんですよ、ごえんりょなく。」

数日後、山男はすっかり元気になりました。
そして山男は、おばあさんにもたずねました。

「この辺におダンゴ山ってのはあるかい?」

「さぁ、知らないねぇ。」

「そうかぁ。」

「私の小さな頃には、おまんじゅう山って呼ばれてた白い山はあったけど、
おダンゴ山は知らないわねぇ。
それにおダンゴみたいに丸い山だったら、ころがっちまうだろうねぇ。」

「ころがる山か。面白いな。まだまだおれは旅を続けるとするよ。
おばあさん、いろいろとありがとう。」

「いいんだよ、気にしないで。」

山男はおばあさんにお礼を言うと、また旅に出ようとしました。
するとおばあさんが山男に言いました。

20070807220203.jpg


「山男さんや、あんた、旅の途中で私の孫に会ったら言っとくれ、私は元気にしとるとな。
白い山に実を探しに行ったまま帰ってこんのだよ。どこで何をしてんだか心配でねぇ。」

「そうか、わかった。会ったら伝えとくよ。」

「あんたも、ころがる山からおっこちないように気をつけてねー。」

そして山男は、ありもしないころがる山を目指して旅を続けるのでした。



終わり
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2007-08-06(Mon)

ころがる山⑤

山男は歩き続けたつかれが出たのかベッドに入るなり、ぐーぐーと眠ってしまいました。

先ほどの話を、調理場からこっそり聞いていた人がいました。
コックです。

というのも、この宿屋は、黄色の町の農家のオヤジが泊まっていたのと同じ宿屋でした。

(お客さんはどうやら、虹のしずくを探しているようだ。
さて教えた方がよいものかどうか。)

コックは悩みました。
一晩悩んだ結果、まず山男の話を聞いてみることにしました。

コックは朝食を運ぶために、山男の泊まっている部屋に来ました。
「おはようございます、お客様。今日の朝食はパンとミルクにサラダです。」

「あっありがとう。いただきます。」
山男は、ねぼけまなこをこすりつつ返事をしました。

「ところでお客さん、何やら山をお探しで?」
「えっ、なぜそのことを?」

「おかみさんから聞きました。で、どこの何という山なんですか?」

「赤い町の近くにあるという、おダンゴ山ってとこだよ。」

「赤い町の近くですかぁ。ここからはまだまだ遠いですねぇ。
で、何でその山をお探しで?」

「おれは山男だからな、登るに決まってるだろう。変なこと聞くんだなぁ。
わっははは。」

「そっ、そうですよね、失礼いたしました。
ではごゆっくり、パンはおかわりできますからね。」

「おぅ、いただきます。」

コックは安心しました。
どうやらこの山男、山に登ることしか頭にないようです。

(赤い町の方かぁ。いつか行ってみよう。)

コックは虹のしずくを夢見ながら、宿屋でのんびりと仕事をしています。
いつか旅に出ようと心に決めて。

山男は緑の町を後にしました。
山をこえて、林をぬけ、森を渡って、黄色の町に着きました。
季節はすでに秋になっていました。

畑には麦が実り、風が吹くと黄金の波のようでした。

そんな畑がずっと続くのどかな一本道を、山男は歩いて行きました。
見渡す限りの麦畑の中に一軒の家がありました。
家には母親らしき人と、かわいい子どもがおりました。

「すみません。」山男は農家の奥さんに声をかけました。
「はい、なんですか。」

「赤い町へはこの道でいいでしょうか?」

「赤い町かい?この道で合ってけど、まだまだずっと遠いよ。旅でもしてるのかい?」

「はい、山を探して。」

「へぇー、山かい。あんた山男だね。まぁがんばりなよ。」
「ありがとう、では。」

「ああ、ちょっといいかい?旅の途中で家のダンナを見たら戻ってくるように言ってくれないかい?」
奥さんは山男に写真を見せました。

20070806234824.jpg


「何だかねぇ、よく効く薬の実を探して旅に出たんだけどねぇ。
子どもの病気もすっかり治ったってのに、肝心のダンナが帰りゃしない。
これじゃあ何しに行ったのかわかんないさ。」

「わかったよ、ダンナさんを見かけたら家に帰るように言っとくよ。」

「頼んだよ、よろしくね。」
2007-08-06(Mon)

ころがる山④

何度もけげんな顔をされながらも、山男は商人探しに必死でした。
とうとう20件目の宿屋で旅の商人を見つけました。

妹の話では、やせてる割に頭が大きく七三分けで、細いひげを生やしているとのこと。
見間違えるはずはありません。

「あの、すみませんが。」
「えっ?は、はい。私ですが?」

よくばり商人はおどろきました。
見たことの無い男です。しかも、山男はとても大柄で無精ひげを生やしていました。

「茶店でうちの妹が山の話を聞いたそうで、昨日なんですが。」
「山の話ですかな?」

よくばり商人はびっくりしました。
(さてはこの男、虹のしずくの話をどこかから聞きつけてきたな。
先に見つけられてはまずいぞ。)

と、思った商人はすました顔で言いました。

「えーっと、私もよくは知らないんだ。
あんた、何でそんな山の話が聞きたいんだい?」

「おれは山に登ることに命をかけてるんだ。
登ってない山の話を聞きゃあ探すのが山男ってもんよ。」

山男はにこにこしながら答えました。
商人は少しホッとしました。

「えっと確か、そうそう赤い町の方だって聞いたよ。」
と、言うと商人は旅に出ました。

素直な山男は、明らかに何かをかくしてそうな顔の商人に別れを言うと、
うたがいもせずにさっさと家へ帰って行きました。

商人はそんな山男の様子を見てニヤリとすると、赤い町とは反対の方へと歩いて行きました。

20070806223302.jpg


山男はとても喜んでいました。
山に登るのが何よりも好きな山男です。
荷造りをさっさと済ませると、赤い町向かって歩き始めました。

足取りも軽く、まだ見ぬおダンゴ山のことを思いながら進んで行きました。

まず初めに、緑の町につきました。
山男は近くの宿屋で休むことにしました。

「いらっしゃい旅の人、ごゆっくりね。」

優しい宿屋のおかみさんが声をかけてきました。
にっこりと笑顔で出迎えてくれたおかみさんに、
山男はさっそく聞いてみることにしました。

「おダンゴ山って知ってるかい?」

「おダンゴ山?うーんと、どっかで聞いたことにあるような気もするけど。
でも近くにはないわよ。えーっと、どこで聞いたのかしら?」

「そうですか。おダンゴ山があるってことがわかっただけでもありがたい。
今日はもう休みます、おやすみなさい。」

「はい、ゆっくりと休んで下さいな。おやすみ。」

20070806225357.jpg

2007-08-05(Sun)

ころがる山③

20070805225234.jpg


しかし、この話をものかげから聞いていた人がいました。
たまたまホテルにお茶を飲みに来ていたよくばり商人です。

「おダンゴ山の虹のしずくかぁ。こりゃあひともうけできそうだな。」

商人はいつもお金持ちになることを夢見ていました。
いつか大きなビジネスを成功させて、
誰もがうらやむようなぜいたくな暮らしをしたいと思っていました。

虹のしずくの話は、前に少し耳にしたことがある程度でしたが、
それは高価な果物で王様ですら手に入れるのは難しいとのこと。

ホテルでもお茶を終えると、さっそく商人は旅に出ました。

商人がしばらく歩いて行くと、青の町に着きました。
一休みしようと、承認は茶店に入りました。

「いらっしゃいませ。」
中から元気な女の子が飛び出して来ました。
今日は特別に忙しい日だったので、たまたま手伝いに来てた子です。

「ちょっといいかな。」と商人が声をかけました。
「なんでしょう。」

「おダンゴ山って知ってるかな?」
「さぁ?そんな山は聞いたことないわよ。お客さん、何でそんな山をさがしてるの?」
女の子は気になって聞いてみました。

「な、なぁに。ちょっと聞いてみただけさ。」
商人がドキドキしながら答えました。
高価な虹のしずくの話です。そうそうたやすく人に話すわけにはいきません。

20070805231611.jpg


「ふぅん。そう。」と女の子は答えました。
女の子は商人の話が少し気になりました。

(おダンゴ山にはきっと何かあるに違いないわ。
見たところ旅の人だし、一体何をさがしているのかしら?)

女の子は仕事から帰ると兄にその話をしました。

「今日ね、店に何だか変なお客さんが来たのよ。
おダンゴ山は知らないか?って聞かれたわ。」

「おダンゴ山?」

「そう。おダンゴ山って変な名前よねぇ。しかもダンゴってことは丸いのかしら?
見たこと無い人だったから、多分旅の人ね。」

「うーん。」

この女の子の兄は、山が大好きの山男でした。
山男は、有名な山なら全て登ったことが自慢でした。

(おダンゴ山、丸い山。)

山男はそんな名前の山は聞いたことがありませんでした。
家の中にある全ての地図をひっぱり出して探しても見つかりません。

山男は、妹が会ったという旅の商人に聞いてみることにしました。
しかし何しろ旅の商人です。まだ青の村にいるとは限りません。

次の日の朝早く、山男は青の村にある宿屋をかたっぱしから探しました。

「旅の商人はいませんか?」
2007-08-05(Sun)

ころがる山②

一体どのくらい歩いたでしょうか。
もともと体の丈夫な農家のオヤジは、かなり遠くの緑の村につきました。
村の門をくぐると突然、すごい雨が降り出しました。
おどろいたオヤジは、思わず近くの宿屋に飛び込みました。

「あらまぁお客さん、びしょぬれですよ。」
優しい声で宿屋のおかみさんが出むかえてくれました。

農家のオヤジが黄色の町から来たことを話すと、おかみさんは
「ずいぶん遠いところから大変でしたねぇ。またお一人で旅行ですか。」
と聞きました。

「ほれ、あの、そうそうおだんごみたいな山にはな、
どんな病気もたちどころに治るというすげぇ実があるらしいんだ。しかも虹色らしい。
おれは子どもに、それをどうしても食わせてやりたくて旅に出たのさ。」

20070805223206.jpg


「へぇー。ダンゴ山の虹の実ねぇ。聞いたことないわ。
長い間この仕事やってるけどそんな噂知らないわよ。」

農家のオヤジが言いました。
「そりゃそうだ。おれだってこの前初めて聞いたんだ。」

「虹の実だって?」料理場からコックが出てきました。
「それってもしかして虹のしずくのことかい?」

「虹のしずくって?」おかみさんが聞き返しました。

「虹のしずくっていやぁ、そりゃめずらしい果物だよ。
おれも実物を目にしたことはないねぇ。伝説の実と呼ばれるくらいさ。」

と、コックが言いました。農家のオヤジは驚いて、
「そんなに手に入りにくいものだとは思わなかったよ。」
がっくりと肩をおとしてしまいました。

今度はコックが、虹のしずくについて気になってしかたありません。
さっそく次の日、調理人仲間のシェフのところに行きました。

シェフは宿屋の近くにある大きなホテルのレストランで働いていました。
コックはシェフの休み時間に、こっそりと呼び出しました。

20070805224301.jpg


「めずらしいなぁ。お前がたずねてくるなんて。」
「いやぁ。うちの客でな、虹のしずくについて話をしてた男がいたんだよ。」

「えっ?あの虹のしずくが??」
「しぃーっ。声がでかいよ。」
「すまんすまん。しかしあの虹のしずくが見つかったとなりゃ、かなりの高値で売れるだろうな。」

「そうなんだよ。どうだい?おまえに行く気があるなら、おれも旅に出ようと思うんだが。」とコックが言いました。

「うーん。」シェフはしばらく考えていました。
「やっぱりやめとくわ。」

「えっ。何で?」とコックが聞くと、
「いやぁ。もうすぐ赤ちゃんが生まれるんでね。」とシェフは照れ笑いをしながら答えました。

「そうかぁ。おめでとう。
おまえさその気になりゃ、いつでも一緒に出かけるからよろしくな。
そうそう、おダンゴ山ってところらしいぜ。」

コックはそう言うと帰って行きました。

プロフィール

necona

Author:necona
自宅で子ども向けの
お絵かき教室をやってます~
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